【映画】ジョゼと虎と魚たちのレビュー【原作未見】

映画・書評

先日映画館に足を運んで今年最後(?)の映画鑑賞をしてきました。

ハイクオリティな映像と、ハラハラはあるけど……、といった展開で心臓にある程度優しい映画でしたのでレビューを行っていきたいと思います。

なお、原作未見です。

ですので、自然に映画自体の感想を言っていければなと思います。

ジョゼは可愛いですが、ツンデレというよりは拗らせたツンですよ。

拗らせたっていうか、彼女の境遇の所為なのですが。

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ジョゼと虎と魚たちのあらすじ

ジョゼと虎と魚たちのあらすじ。

大学で海洋生物学を学ぶバイト三昧の貧乏男子の恒夫と車椅子の少女クミ子(ジョゼ)が出会うところから始まります。

暴走する車椅子から放り出されたクミ子を助けたことから、彼女の祖母に礼を言われ、食事に招待されます。

貧乏学生の恒夫はありがたく招待を受けるが、助けたはずのクミ子がいつまでもつっけんどんな態度をとりつつ、祖母にわがままを言いすぎることを少し気に留めます。

というところから交流がスタート。

車椅子の暴走の一件から外の散歩はやはり危ないと祖母から外出禁止令が出され、日常の退屈に更に閉じこもっていくクミ子。

そして、恒夫の新しいバイトとして、クミ子の相手をするという奇妙な契約が生まれます。

そこから恒夫とジョゼ(クミ子)の交流を主眼とし、恒夫の背景とジョゼの背景が徐々に描かれ、元々のバイト先の仲間との交流。

大学や夢のやり取りを経て季節を巡っていき、2人の恋とも呼べない淡い思いに転機が訪れます。

タイトルの『虎』と『魚』はジョゼ(と恒夫)を取り巻くある事柄の象徴で、中盤タイトルのその意味に気付かされることでしょう。

20代の奇妙な恋模様と夢、実現。

そして現実を描く物語です。

公式サイトはこちら

アクセスいただいたサイトはメンテナンス中です
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予告編の1分動画はムチャクチャ綺麗です。

ジョゼの意地っ張りで変な境遇と、恒夫の奇妙な関係がよく切り出されています。

ジョゼと虎と魚たちの原作

原作は『月刊カドカワ』1984年6月号掲載。田辺聖子氏の短編恋愛小説から。

結構古いですね……。

ジョゼという作品自体が30年以上前の物であるという事にまず衝撃を覚えます。

原作では主人公がジョゼ(クミ子)と紹介されていますが、映画は恒夫視点で物語が進行していたので、この辺も改変結果なのかな?

私は映画版は主人公=恒夫・ヒロイン=ジョゼという受け取り方をしていました。

wikiにはエロティシズムを描くストーリーと書いてあるので、性描写があるのかな。

あるなこれ。

劇中の男女間の描写は……まぁ、健全な範囲ですよそりゃあ。

その辺は生々しさが無いといった表現を友達がしていましたが、ふぅむと納得。

原作は当然当時の背景の筈で、キャラクターたちの立ち位置や物語の舞台となるジョゼの家。

スマホやタブレットのしようなども改変されており、この辺は完全に現代版にリニューアルしたといったところ。

本作の評価

ではちょっと本作の評価を行っていこうと思います。

余り本編に触れることができないので、妄想を膨らませつつ読み進めて頂ければ幸いです。

視点

この作品は基本的に男性側、恒夫視点で進んでいると感じます。

ジョゼ側の描写も出てきますが、前半はジョゼとの出会いと恒夫の背景を語っていく内容となります。

恒夫がバイトをたくさんしているという話、ダイビング→魚に興味がある話。

大学生として何を専攻しているかそして交友関係が良好なことなど。

ジョゼ側の描写は前半はほとんど出てこず、祖母と暮らしている性格のキツイ少女として描かれています。

夢はあるがフラストレーションがたまっており、それを徐々に恒夫との交流でゆっくりと解いていきます。

ジョゼは終始勝ち気でわがままな少女を演じていますが、ふと見せる弱い処に気付けるよう視聴者に配慮されています。

そして中盤からジョゼ一人の心理描写も増えてきて、この子が普通の女の子であることが語られていきます。

それにしても恒夫のバイト先の子達が良い子なんですわ。

さりげない描写が丁寧

視聴者が『理解できる』『察することができる』ように作られているこの先品は、物語の進み方としては余計な要素はそぎ落とし必要な人物と出番を配置しているかのようです。

こう書くととても偉そうですが情報に無駄がなく非常に理解がしやすい構造で、よくできています。

特に時間の流れが自然で。

恒夫がジョゼの車椅子を押すシーンにもなれとみられる動作が現れます。

それらをあえて音声で語らない、シーンで語らない事で時間の経過と濃い時間を表しているのでしょう。

劇場で我々が体験するよりも多くの時間を、劇中で積み重ねて交流しそしてすれ違い進んでいく。

何か書いててとてもいい描写だなって。

どんな描写なのかは是非劇中で。

最後までの流れと総評

本編の記憶に残りやすいシーンを回収しつつ、徐々に締めに入っていきます。

恒夫の挫折などの大きいイベントを経ることで、恒夫の絶望と葛藤ジョゼの周りとの付き合い方。

そしてそれぞれの夢への考え方などを収束していきます。

本編は安心してください、ハッピーエンドなので純真で心が壊れやすい方にも大丈夫です。

途中少しだけハラハラタイムがありますが。

作品1本としては完成度が高く、多少ご都合主義なところはあります。

登場人物たちは無駄なく出てきており、物語への絡め方にも無駄がありません。

使い捨てキャラクターもおらず、しっかりと場面場面で役割を果たしていたのがとてもまとめられていてよかったです。

ジョゼは良作

ジョゼ虎

個人的にはとても良作に感じました。

原作を読んでいる人にはもしかしたらシチュエーション無視の、キャラクターを投影しただけの別作品。

の様な捉え方もあるかもしれませんが。

1本立った映画として安心して見れる映画です。

お正月、出かけたいけど何を見るかを迷っているという人は是非候補に上げてみてはいかがでしょうか。

人を思いやることと自身のことへの葛藤。

嫌われる恐怖と相手を見つめることができる心。

素直さを出すことの大切さ。

色々な感情をスクリーンを通して学ぶことができます。

1人じゃない、でも2人でもない。

エゴはあるけど、配慮と秩序を怠らなければそれすらも良い話となるかも。

いや、そうしたいと願えます。

きっと人同士はそうして振り返って、絶望して、また認め合って生きていくものだから。

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