立憲民主党のアベノミクス検証報告へのツッコミ処について考えてみる

Pokemon

2020.9.21に立憲民主党で独自に行った『アベノミクス検証委員会』なるものが話題に上がっていたので取り上げてみます。

今回、何故それが話題に挙がっているのかというと、委員会側が出してきた報告書・調査書・あるいは検証と呼べる資料の内容が凄かったからです。

なんと……その内容……。

A4用紙1.5枚分の文字量。

学生がレポートで出したら100万%再提出を食らうような、教師との信頼関係を損なう怒涛の再提出不可避レベルの物。

普段そのセクター・話題に従事している人なら書くのに10分もかからない内容です。

というわけで今回はこのよくわからん報告書の問題点を見ていきます。

ちなみに資料とか出展については一人で調べているので、大分漏れがあると思います。

参考:立憲民主党公式ページ 2021年

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アベノミクス検証報告書とは

アベノミクス検証報告書とは、2021.9.21に立憲未種痘から提出された、安倍政権時代の経済政策についての検証。

委員会設置は2021.9.14と、契約自体は一週間。

委員会のメンバー全容の書類は調べたところ見当たりませんでしたが、公式ページ内に関係者・出席者と思われる写真が載っていますので要参照。

ツイッター界隈で良く意見を発信されているあの方も居るようです。

内容を一部引用するとこの様な形。

(1)実質賃金の低下
(2)消費増税(2 回)が家計を直撃
(3)ミリオネアー(億万長者)、貯蓄ゼロ世帯の増加
(4)産業競争力、潜在成長力の低下

で主題と取れる項目がありまして短い内容が書かれています。

もうこの時点でちょっと突っこみたいのですが、そのツッコミは後ろの項目に回そうと思います。

そもそも調査書とは

書類というのはそもそも書き方が自由で、決まって「これを入れろ」といったような制限はありません。

しかし、セオリーや分量。引用などは業界・業種・どのような目的なによって少なからず蓄積されたものがありますので、それに沿った書き方がベターという形になります。

テンプレートあった方が書く方も読むほうも楽ですからね。

通常の調査書というのは。

  • 調査目的
  • 調査に使われた定量や分析資料の提示
  • 調査内容の提示
  • 調査内容の考察
  • 調査内容の結論
  • 改善案の提示

などなど、ある程度の要素で構成がされます。

会議資料ではなく、財務諸表の様なモノなので必要な内容があれば項目を作り記述していくのがセオリーです。

この調査書、いきなり結論から書かれてるんですよね。

引用元PDF:URL

答えを先に言うとはブログ手法かな?

「話は結論から書け!」というのは『そういう読物のセオリー』ですって。

いや、インナーの会議資料とかそういうのだったらいいと思うんですよ。

アジェンダ→結論から語るという最短プロセスで。

これ、冒頭結論だけ書いてあって、通常ありそうな資料内のアジェンダというかインデックスっぽいものが無いんですよね。

なんというか、ただの個人感想文になってしまっていて根拠に乏しいんです。根拠があるなら書いておくべきだし。

で、「なんでこんなことになっているのかな?」と、立憲民主党のウェブに記載されている記事を確認すると、検証に使ったであろうデータが出てくるのです。

データ自体の正誤はこの際どうでもいいとして、ここの根本的な問題点としては『検証報告の方にこのデータが引用されていない』『このデータが使われている事も示唆されていない(出所が分からない)』ということなのです。

つまり、書類と立憲記事自体はお互い独立しているクセに『詳しくはWEBで』と書かずに『詳しくはWEBで状態』になってしまっているのです。

なんだこりゃ。

書類としての問題点を挙げればきりが無いのですが簡潔に書くと。

  • 一番重要な『理由・根拠』が全ての項目に記載されていない
  • 同様に引用・出典データ元が記載されていない
  • 各項目についてのメリット・デメリットが記載されていない
  • 使われている言葉の不整合性と公式文書的な言い回しの欠如(例えば富裕層がミリオネアーと表記されているのに対し、貧困層は貯蓄ゼロ世帯と表記されている)
  • 増税項目は一部民主党政権時代に決まっていた話なのに、それが無かったことになっている
  • 句読点の打ち方が下手で読みづらいなど、単純に文章に校閲が入っていない雰囲気がある
  • そもそもボリュームが無さ過ぎて内容が読み取り辛い
  • 書類内で一切完結しない内容

などなど。

あかん、簡潔に書いたつもりが項目が多すぎる……。

アベノミクス検証報告書の問題点

ではちょっと問題点を掘り下げていきます。以下報告書の項目にツッコミを入れます。

(1)実質賃金の低下

民主党政権時代はデフレ基調で、色々な物が通常とは違う価値になっていました。

株価・賃金・円高。

特に円は1時1ドル75円程度を付けていました。金融緩和政策を日本だけが行っていなかったからですが、これが自民党政権に戻ると金融緩和政策が実行されます。

すると、物価は普通に上昇していくわけででも給与水準の反映などは基本市場よりもメチャクチャ遅くなるので実質賃金が下がるというわけです。

これは政権が民主党から自民党へ戻った時点で織り込み済みなんですよね。

通常は緩やかなインフレが良いと言われる経済指標の中で、何故かデフレになる政策の民主党から政権を引くついだら、誰がやってもこうなるという。

だから、この項目は書こうと思ったら絶対かける項目で、むしろアベノミクスがあっても無くても出てきたであろう話なのです。

それなのにアベノミクスの検証報告書でTOPの話題に持ってこられる謎。

素人にはよくわかりませんねぇ。

(2)消費増税(2 回)が家計を直撃

えーっと、まず。私なら『合計2回の消費増税による経済の鈍化』ってタイトルにします。

ダサい。報告書でしょ?しっかりやって?

で、これどう直撃したのかがわからないんですよ。

増税によって消費が落ち込んだのか、貯蓄が減ったのか。

消費が落ち込んだならまずどこの業界に影響が出たのか、それが土地代などの不動産に反映されていくのはいつなのか。

貯蓄が減ったなら、財政的には何処に回ったのか。

税金の使われ方を追っていかなくてはいけませんが。

何がどうしてどうなったというのが全く読み取れないのです。

で、この増税もよく言われるんですけど。

これは民主党政権時代に野田首相主導の三党合意によって決定しているので、あと税率なので他の国を含めたところの意思決定だったわけです。

ただ、責めるのであれば当時の民主党政権がやろうとしたことを段階施行しただけ。

いやいや、そもそも民主党政権誕生前の内閣が強く突っぱねてこなかったからだとかいろいろ言い分はあるのですが。

結局ハンコついたの民主党政権時代だからね……。

(3)ミリオネアー(億万長者)、貯蓄ゼロ世帯の増加

この貯蓄ゼロ世帯の元となった『家系の金融行動による世論調査』データ引用が2017年までになってます。

引用元:https://cdp-japan.jp/news/20210921_2145

でね、2017いわゆるゼロ世帯のピークなんですよ。

そのデータの出典元がこちらの書類の関連だと思われます。赤で囲ったところが対象の部分で数値は違いますが一部抜粋しました。

引用元:家計の金融行動に関する世論調査

はい、2017年をピークにガッツリ下がってますね。

金融政策なんだから当然そうなるよね。

もうちょっとわかりやすいデータ出したかったのですが見つけられず。

そもそも2021年調査でなんで2017年の名目までしか見ていないのか。

ちなみに立憲内ウェブページでは2019年まで引用している資料もあり、項目によって計測期間がバラバラです。

(4)産業競争力、潜在成長力の低下

これ、民主党政権時の地獄の株価の所為では?

これが日経平均の株かです。

この頃あった大きな出来事と言えば。

リーマンショックが2008年9月。

民主党政権誕生が2009年9月16日。

東日本大震災が2011年3月11日です。

2020年にはコロナショックがありましたが、すぐに株価を中心とする市場は回復しています。

通常新政権へ移行するとある程度御祝儀相場の様なモノがありますが、鳩山政権時代は特に外的要因も無くスコンと下げているんですよね。

この頃就活していた人たちならわかるでしょうが、これが新卒を採用できなかった地獄の民主党政権と呼ばれる時代です。

ちなみに日本を代表する企業であるトヨタ本家の株価。結構相関している気がします。

トヨタは関連する会社がとても多いので、これだけでも成長が鈍化する理由がわかりそうなものです。

なんでデフレと円高放置した?

で、多分立憲が強調したいのは自らしてある丸の部分。

2010年あたりの底打ちから経済をすさまじい倍率で回復させた、みたいに書きたいのでしょうが。

リーマンショックと東日本大震災という二つの大きな景気を揺らす出来事があったので、ここ成長率とか見てもしょうがないんですよね。

比較前が滅茶苦茶倍率が低くなるので、そのあとリバウンドで成長率が跳ねるのは当然なんですよ。

ちなみに消費者物価上昇率というのは消費者が購入するものの価格を表す指数なので、コロナショックに向かって落ちてるから、ここも落ちて当然なんですよね。

これをそもそも率で見るの自体が実態とは乖離してくるわけです。

雇用統計について触れていない

図は厚生労働省のデータなのですが、就業者数2013年からちゃんと増えてるんですよね。

引用元:厚生労働省

第二次安倍内閣は12年12月26日発足なので……。

これだと効果出てるって事になっちゃうと。

この就業者数にはカラクリがあって、雇用者数の半分は非正規なので労働格差が広がったという統計もあるのですが。

そもそも民主党で減った正規雇用は50万人、増えた非正規雇用は89万人と言われています。

んんんんんっと。報告書の理論だと民主党政権の方が圧倒的悪い運営をしていたことになってしまうのですが。

ちなみに安倍政権では正規雇用が150万人、非正規雇用が250~350万人増えたと言われています。両方増えてますね。

また、貧困率の低下が全体で見られているから、ちゃんと経済を回すことには貢献しているんです。

報告書中には金持ちが増えたから格差が拡大した!と書いてあるのですが。

金持ちも、最低限の労働者も増えただけでは?

となるわけです。

労働人口を上手く増やすことができれば、そりゃお金持ちも増えますし、そもそも貧困格差が減っているから、貧困格差の是正をしたうえでの結果なんですよね。

金持ちを叩きたいのはなんでだ?

結局何が書いてあるのか

わからん。

素人コメンテーターの感想文みたいになっててマジで何が書いてあるかわからん。というのが一番の問題。

何でこの程度の文章で記者会見をしたのかもわからないし、なんでこの程度の文章を発表しようと思ったのかもわからない。

再度明示しておきますが、これで全文ですからね。

引用元:PDF

何が、どうしで、どうなった。

もしくは、何が、こういった根拠でイケてない。

というのが全く書かれていないので、書類の体裁を成していないのです。

これで野党第一党ですから日本の野党で飯食うのが如何に楽なのか、というのがよくわかるというものです。

ところで、こういう委員会組織の立ち上げと解体は政党助成金から出てるのかな……?

最後に10年以上前の日経新聞から引用します。

立憲の枝野代表の政権当時の言葉です。

「与党がこんな忙しいとは思わなかった」と語った。

引用元:https://www.nikkei.com/article/DGXDZO18240230V11C10A1NN0000/

今はどうなんだろうか。

というわけで話題になった怪文書について触れてみました。

政党を批判したいとかそういうのではなく、大人がこれを仕事として実行しているという情けなさが伝われば良いと思っています。

少なくともこの程度の書類は仕事ではない、ただの趣味でもなく「こういう総評をしたい」という段階の書き散らしです。

ブロガーで言うと章のタイトル決めてる段階。

あれで良いのかマジで。

中身をちゃんと書きなさい。いい大人なんだから。

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