ネオフォビアという概念を知っていますか?
人間は新しく遭遇する物事には、一定の恐怖心を覚え、それらを受け入れられないという心理効果です。
新しい物に恐怖もくそもあるか!
と思えますか?「実はてやんでい!べらぼうめぇ!」な人ほど新しい物ごとに恐怖してるんですよ。
想像できますか?
そうです、頑固者ほど実は臆病かもね。
そうだと思う人も、そうじゃないと思う人もちょっと考えてみてください。
新しい事って何だろう?
新しい事って怖いのだろうか?
ということを。
ネオフォビア 新奇恐怖症とは
ネオフォビアとはこれまで経験した事の無い体験や新しい環境、初めて会う人物などに対して恐怖心や不安を覚える心理作用のこと。
恐怖と言っても軽い物ではなく重度の症状も含まれ、時には日常生活に困難をきたす状態が体に現れることもあります。
日本語では新奇恐怖症と訳され、新しい事に対する緊張の重要度が伺えます。
ちなみに【新奇】とは、目新しく普段触れている物などと違っている物事を指します。
外国の方が初めて日本に定住した際、地震に必要以上に驚き恐怖したというエピソードを聞いたことがありませんか?
特にヨーロッパでは地震が少ないことが指摘されており、EU諸国出身の方達には刺激が強いようです。
地面が揺れるなどほとんど体験した事が無い、ましてや大きく(震度3強)揺れるとしたら、日本人の想像を絶する恐怖かも知れません。
しかし、いつしか驚きは少なくなっていくのです。『慣れ』ですね。
これは、日本においては通常の事自身の強さがこれぐらいでは何も起きないことを体が覚えて、頭で判って学習し普通のこととして落とし込んでいくのです。
次第に正常性バイアスが『この程度の地震なら余裕』とかかるようになり、危機意識は低くなっていきます。
この慣れることが、新しい物を受け入れる上では一番重要という事です。
あなたの危機意識は大丈夫?
>> 正常性バイアスとは なぜ危険なのかその意味とよくあるケースを紹介
ちなみにネオフォビアは他のバイアスなどと同じ様に、本能的に刻まれている物です。
野生動物なども備えており、特に未知の音に対する警戒が強く音に慣れていない野生動物などは、威嚇や鈴の音で逃げると言われますよね。
しかし、警戒音にもいつしか慣れてしまうと人里近くまで下りてくる個体も居ます。
山猿が畑を荒らすという状況に対し、最初はかかしで。次は警戒音で追い払っていたが、最後には効果が無くなる。
といった話と同じことです。
ネオフォビアは野生に近い動物ほど強く働き、家畜化されるとその本能が弱まる事も指摘されています。
新しい物は拒否から始まる
「最近の新技術には付いていけない、普通の電話で良いじゃないか」
スマートフォンを初めて手に取った否定的な人が言いがちなコメントです。
この反応は典型的なネオフォビアの1つで、新しい物を否定、拒否、嫌悪するところから始まっています。
こういった反応をする理由として、人は予測のできないレベルのことや理解できないレベルのことに対して、特にこういった心理作用が働くからです。
自分たちが経験した事の無い事柄、知り得ない物、それらが今までの経験と乖離があるほど恐怖心が高まるというわけです。
その反応が結果的な拒否というわけですね。
また、こうした反応が出ると同時に「今の環境サイコー!」といった心理も働きます。
現環境に自分が与える影響の範囲を知っているからです。
予測できることは悪い事でもそこまで怖くない。
予測できないことは大したことじゃなくても恐ろしい。
そう感じるのが本能なのです。
新しい事への挑戦は軋轢を生む
こうしたことから、改革を推し進める人たちは、多数のネオフォビア症状の持ち主によって現状への回帰を求められてしまいます。
勿論改革が良いか悪いかはこの時、要因の一部ではありますが、単に新奇恐怖で嫌がっている人たちも一定数居るという事です。
引っ越しなどもカタツムリの様によくやる人もいますが、そんなに多くありません。
逆に日本語には住めば都という言葉があり、多少環境が悪くとも慣れてしまうものです。
だって引っ越しの実費や労力を除いても、新しい所に行くというのはそれだけ精神的エネルギーを要するのですから。
誰でも潜在的に抱えているのです。
話を改革という事に戻して考えると、新しい何かを推し進める場合は、必ず反発に合うという事を、是非知っておいてください。
内容の良し悪しではありません、絶対的に感情論が混じってくるものなのです、ネオフォビアによって。
ですから、何か新しい提案をする時は断わられる事を前提に長期戦や感情面での相手のフォローを念頭に交渉や計画を進めて下さい。
これが事前に判っていれば、余計な衝突を回避してよりスムーズに物事を進めることができるからです。
こういったものを回避するにはハロー効果を利用したり、テンション・リダクションのタイミングを狙ったりと、心理学的に相手が文句を言いにくい状態を狙う事も考えられます。
必要のある新しい提案は拒否は前提とし、根気よく進めていきましょう。
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