今回はアフォーダンス理論を解説します。
初期に提唱された、本来のアフォーダンス理論。
誤用で広まってしまった現代のアフォーダンス理論。
その違いが分からなくなった時、この記事を読み返してみてください。
欲しかったこと耐えに見つかるかも。
誤用で広まった現代のアフォーダンス理論も、元とは違うとはいえ考え方として重要なのは変わりありません。
アフォーダンス理論とは
アフォーダンス理論とはアメリカの心理学者ジェームス・ジェローム・ギブソンが用いた用語。
元々は【afford】から来るギブソンの造語。affordの意味は『供給する』『与える』『余裕がある』など、物を与える側の言葉です。
この意味から「環境が動物に与える意味」と訳されています。
まず、ギブソンが最初に発したアフォーダンスの定義を見てみましょう。
「動物と物の間に存在する行為についての関係性そのもの」
もうちょっとわかりづらいので、タンスについての例でもう少し掘ります。
- 引き手の付いたタンス
- 【わたし】の存在
がある場合『私はそのタンスについて引いて開けるという行為が可能である』という関係性が発生する。
この関係性を『引いて開けるアフォーダンスの存在』もしくは『引いて開ける行為をアフォードする』と称します。
『わたし』が引き手に気付いているかどうかは関係なく『鍵がかかっているかも?』というなどの思考は関係なく。
『実行可能であるならば』アフォーダンスは存在する。というのが定義です。
ここまでがギブソンが提唱した定義です。
最近はデザイン分野でのアフォーダンス理論というものが浸透しており、こちらがアフォーダンスとして認知されていますが本来は誤用です。
まぁ、それを指摘すると話がこじれるので、心のうちにそっと留めておきましょう。
ようはデマの意味が本来の意味と変わってしまっている様なものです。
ちょっと違うかな?
というわけで次の項目で解説していきます。
デザイン分野におけるアフォーダンスの誤用
デザイン領域においては【相手の行動をアフォードする】といった感じの話し方をされます。
これは意味合いとしては【促す】に近い物で、もっと噛み砕いて言うなら、相手の行動を誘導する為のデザインといったような意味合いになります。
使用用途の意味を相手に教える(アフォードする)デザインが優れている。
このデザイン分野でのアフォーダンス解り易い例は矢印です。
例えば、この様に視覚的な方向が示されていれば、その方向に何かをするんだなというのは伝わりますよね。
万人に伝わる【行動を促すデザイン】がデザイン上の良いアフォーダンスとされます。
これらはタンスの取っ手などでも言い表される事が多いです。
確かに、タンスに取っ手が付いていたら「それを使って引くんだな」という事は誰もが思いつきそうです。
しかし、先ほど話している通りこのアフォーダンスの扱い方は誤用です。
誤用したドナルド・ノーマンは後に「本来のアフォーダンスではなく、知覚されたアフォーダンスとして読んでくれ」と言っています。
- 本来のアフォーダンスは人と物の関係性そのもの
- 誤用されて広まったアフォーダンスは行動を促すヒント
ちなみに、現代は誤用の方が広まっているとされており、目くじら立てて指摘すると嫌仲をされるので、そっと心のうちにしまっておきましょう。
デザインの重要性
デザイン、もしくは共通認識はとても重要です。
例えばこれらは共通認識で食器という認識がありますよね。
もし、デザインにこれが組み込まれている建物があったらどうでしょうか。
少なくとも飲食にかかわる施設。
と推察することができるのではないでしょうか。
この様に、日常に潜む常識や意識を活用し、それらを目的とするユーザーを呼び込んだり、誘導したりすることがデザイン上のアフォードに求められることとなります。
我々はこうした日常の認知を利用して、思考を簡略化したり省略したりして日々の負担を減らして過ごしているのです。
いやぁ、モノづくりって本当にすごいですよ。
あなたも気になったら、機能的に表れる本来のアフォーダンスと現在のデザイン的アフォーダンスを志向してみてください。
本来存在するモノの意義や作り手の意図が見えてくるかもしれません。
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