ディドロ効果とは 統一への満足感と不揃いへのストレス【心理学】

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突然ですが、ディドロ効果という用語をご存じですか?

例えば、今まで興味が無かった衣類。
あるブランドの品を購入したら、それが大変素晴らしく、あれよあれよという間に、ズボンも下着もそのメーカーで揃えてしまった。

そんな経験はないでしょうか?

こういった
「新しく入手したものに対して、周りの物も統一することに満足感や安心感を覚える」行動心理学の事を、ディドロ効果と言います。

このディドロ効果は、日常の色々な事に潜み、マーケティングの一端を支える重要な心理学となっています。

今回はそんなディドロ効果について掘り下げていきたいと思います。

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ディドロ効果とは 統一への満足感

物の水準を揃えたくなってしまう感覚

ディドロ効果は新しく入ってきた価値あるものに、関係する周りの物も併せようとしてしまう効果です。

高級な飲食物なら、高級な食器や高級なテーブル。
高級な服なら、同じメーカーや同じ高さの靴や腕時計といった具合にです。

高級な物に関わらず、メーカー縛りやシリーズで揃えて買ってしまうのもディドロ効果となります。

兎に角何かの基準を自分で作って、そこに統一してしまうんです。

ディドロ効果の日常の例

ディドロ効果は日常のあらゆるところに潜んでおり、あなたもさっさかさっさかこの例に乗ってしまっているかもしれません。

幾つか例を挙げましょう。

・あるメーカーの衣類を購入した
・それがとても自分にフィットしていて、気に入った
・気が付くと、クローゼットの中がそのメーカーで埋め尽くされていた
・ある日ソーシャルゲームでとてもレア度の高いキャラクターを手に入れた
・それまで愛用していた中レア程度のキャラクターでは満足できなくなった
・気が付くと最高レアのキャラクターでパーティをそろえるまで、ガチャをまわしていた
・ベッドにおしゃれな高級ランプを奮発して購入した
・急にシーツやカーテンががみすぼらしく見えてしまった
・ランプに見合う様にしようと、調度品のレベルや高級感を合うものにしていった
・誕生日プレゼントにとても高価なワインを貰った
・今までは何となく保管していたが、ワインセラーが欲しくなった
・グラスも安物からグレードの高い高級なグラスを購入した
・普段買うワインのランクもそこに釣られて上がった

と、この様に例を挙げればきりがありませんが、何かをきっかけとしてその水準にモノをどんどん合わせようとしてしまうのです。

特にそこに合わせる意味なんかないのに。
というか、端から見れば無駄遣いですよね。

周りの物を総とっかえしたからと言って、物の本質が変わるわけではないので。

ディドロ効果の由来

ディドロ効果は18世紀のフランスの思想家、ドゥニ・ディドロの残した書物に由来しています。

ちなみにこれはエッセイとして書かれており、タイトルは
『私の古いガウンを手放したことについての後悔』
とよくわからない物になっています。

ある日、とても美しいガウンを貰ったディドロ。
それを着て、意気揚々としていましたが、ふとガウンと部屋の調度品が不釣り合いに見えてしまい、部屋の調度品を次々に捨て去り、高級な物に差し替えた。

というのが概要です。
このエッセイを見た グラント・マクラッケン がこの『新しい物を手に入れた時全て、その水準に合わせたくなってしまう心理作用』をディドロ効果と呼んだのです。

ディドロは名前をとられていますが、マクラッケンが名付けたという事ですね。

ディドロ効果でマーケティングの成果を上げる

ディドロ効果を使えば、商品の売り方も変わってきます。

服飾メーカーで言うと、季節の一式コーディネートの打ち出しを自社ブランドで行う。
カードゲームで言えば、テーマデッキのパーツを毎回の更新毎に増やしていく。


といった具合です。

人は、達成できなかったことを強く印象に刻む生き物です。
逆を言えば、『コンプ欲が常に働いている』とも言えます。
この、人のコンプ欲を上手く商売戦略として取り入れていくのです。

ブランドの世界観を上手く構築できると、ディドロ効果によるリピーターが増えます。
【そのブランドの物は、全て入手して揃えたいという心理が働く為】です。
これが、メーカーが一貫してテーマを貫いて物を制作していく理由であり、ファンが構築される理由でもあります。

うちのブログで何度も何度も出てきますが、こういうのは一貫性の原理が働いているのですね。
一度受け入れたから、他の類する物も、もっと受け入れねばという。

つくづく人間は強情で、一直線な生き物です。

化粧品や美容液の体験セットが戦略的な理由

ディドロ効果を用いたもので、わかりやすい成功例と言えるのがドモホルンリンクルのお試しセットではないでしょうか。

最初の入手ハードルが、無料なので異常に低いのですが、一度高級な美容用品に手を付けて、その効果を実感してしまうと、かなりの確率でその良さに執着してしまいます。

そして、化粧水からメイク落とし、肌の管理まで、そのメーカーの商品で統一してしまうのです。
確かに、全て同じメーカー品で揃えられれば、効果の抜けはなさそうですし購入先も同じ為、安心して使う事ができます。

これこそが確立されたブランド戦略だと、私は感じています。

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自分たちは無理にこの効果に付き合わない事

さて、この心理学を頭に居れたら、もう無暗にコンプ欲を刺激されることはないですよね。
物は必要最小限でも十分です。

無理して新しく入手した高級品と同じレベルの物で揃えようとすると、あっという間に破産してしまうかもしれません。

そういった事を避ける為、
「これはディドロ効果が働いているんだ」、「コンプしたいのは自分の本心ではないんだ」
と、自身を説得してみて下さい。

もしかしたら無駄な出費が減るかもしれませんよ。

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