人の痛みを感じ取ってしまうミラータッチ共感覚とは?

科学・哲学

映画やドラマを見ていて登場人物が傷つけられた時に「痛っ」と思ってしまう人、または思わず声を上げてしまう知り合いはいますか?

これはミラータッチ共感覚と言われるもので、脳が相手の痛みに同調して『痛みの信号を受け取ってしまう』という現象です。

探求者
探求者

つまり?

はむらいと
はむらいと

君が切り刻まれるとするじゃん?

探求者
探求者

う、うん

はむらいと
はむらいと

見ているミラータッチ共感覚者も

同じダメージを負う感覚になるわけよ

とにかく『痛い!』というのを映像から実装に受け取ってしまうというのは非常に厄介ですね。

こうした事に苦しんでいる人が、思ったよりも多いという衝撃の内容があるのです。

では紹介していきます。

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ミラータッチ共感覚について

鏡

ミラータッチ共感覚は感度の非常に優れた共感性のことで、例えば映画の登場人物が傷を負ったシーンに共感して、受け手側も痛みを感じてしまうといった内容を指します。

この感覚は全体の約1.6%に相当する人が持っているとされており、彼らは非常に鋭敏な共感性の持ち主かも知れません。

視覚と触覚によって引き起こされるが、知らない事に対しては共感性を持てません。

例えば、アスファルト上で転んだことが無い人がミラータッチ共感覚を持っていたとしても、アスファルトで転んだ登場人物の痛みを受け取ることはできません。

あくまでも『自身が知っている痛み』の中から共感覚を得ているのです。

勿論通常の触覚に対するセンサー的な働きもミラータッチに含まれます。

例えば手を握るなどの動作やそれに対する感覚ですね。

感覚で得られる刺激を他者から自分に投影する事、と考えるとわかり易いですね。

でも、この様な感覚の受け取りが可能という事は、知っている感覚に関してはあらゆる事がミラーできる可能性があるということだと考えると、そのヤバさが伝わりますでしょうか?

ミラータッチ共感覚の研究

研究

ミラータッチ共感覚の研究対象としては2351名の学生をサンプリングしています。

学生たちは映像を見せられる中で、映像の中の俳優が受ける動作について様々な質問をされます。

足を触られる、腕を触られる。

そのなかで、被験者本人たちもどう感じ取っているかと質問されるのです。

このテストを行うと45人の学生にミラータッチの兆候が見られたとされています。

それらは、俳優が実際に刺激を受けていた箇所に相当していたのです。

登場人物になり切って、実際に肌に感覚として知覚してしまう。

それも結構な数の人間が持っているという衝撃的な結果となりました。

また、相手の傷口を見てダメージを想像する場合がありますが、これは厳密にはミラータッチ共感覚ではありません。

ミラータッチ共感覚で困難になる日常生活

不安を抱える女性

ミラータッチ共感覚の持ち主は、要するに『知っているダメージを自らに通してしまう』わけですから、日常スプラッタ映画などを見ることができません。

通常ミラータッチ共感覚は本物の痛みではないので、実際に傷つけられるレベルのストレスを感じてしまうわけではありません。

しかしそれでも、痛みによって精神をさいなまれてしまったり、他社と会う事ができなくなったり。

日常生活に支障をきたしてしまうケースがあります。

闇の人格
闇の人格

骨折のダメージとかを知った日には地獄じゃない

はむらいと
はむらいと

格闘物が見れなくなるね

通常の共感感覚とは

通常の『共感覚(シナスタジア)』は今回紹介している『ミラータッチ共感覚』とは内容が全く違っています。

通常共感覚と呼ばれるものは、テキストと色が関連付けられたり、造形に対して味覚が働いたりと別の種類の感覚が想起される事を言います。

0は青、三角は辛い。といった具合ですね。

ちなみにこういった○○を見たり感じたりするという内容の物は150種以上の観測報告が上がっており、その種類は多岐に渡ります。

また、こうした人たちの感覚は必ず独自の物を築いているかというとそういうわけではありません。

俗に冷たい色、暖かい色という表現がある通り、独自色を持つ共感覚者たちの中にも傾向の様なものはあります。

傾向としては高い音は明るく感じられることが多いですが、こういった傾向は必ず共通しているわけではありません。

あくまで多く見られるという程度の物です。

世の中には我々の想像を絶する道の感覚がある

考え方

我々は通常自分が感じ取れる範囲内で物事を判断しています。

映像だから痛い筈がない、ただの文字に色情報が別であるはずがないなど。

ミラータッチ共感覚や共感覚を持たない人には全くわからない世界です。

でもこうした物もあると知っておくことで、誰かへの偏見であったり、考え方の違いに対するヘイトが減らせることもあります。

感じることはできませんが、知ることはできます。

是非こうした特殊な感覚もあるという事を胸に留めておきましょう。

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