「あなたは一見リアリストですが、心の奥底ではロマンチストですよね」
「あなたはがさつで大雑把に見えますが、その実心の奥底では実に繊細で丁寧ですよね」
上の文章を見て『あ、自分結構当てはまってるかも』と思った人は読み進めてみましょう。
きっとそれは、『バーナム効果』が働いているから…。
といった内容の記述には、嘘があるかもしれません。
えっっ、嘘なの?
バーナム効果というのは広く普及はしていますが、なぜか定義が浅くなっていたりして、元のバーナム効果と違ったものが広がっています。
というわけで今回はバーナム効果の解説です。
何処がよく見かけるバーナム効果と違うのか、よく見ていって下さいね。
併せて読みたい、よく勘違いされている豆知識シリーズはコチラ。
この際一緒に覚えて、豆知識を増やしちゃいましょう。
バーナム効果とは
バーナム効果とは、何らかの実験を経て『被験者に実験とは関係の無い内容』を渡された時に「私の事だ! あたっている!」と思い込んでしまう現象の事。
アメリカの心理学者バートラム・フォアが提唱した為、フォアラー効果とも言います。
この実験は単に、相手に対して当てはまりそうなことを言う、キャッチの様なやり方ではありません。
事前に心理的な検査を施します。ようは事前アンケートですね。
そして、その結果とは関係なく、被験者に情報を与えます。
例えば深層心理を探るアンケートと称して、幾つかの質問に回答してもらいます。
その後、アンケートを回収しこれが結果ですと被験者に返すのです。
「あなたは、普段明るく振舞っているが、心の奥底では闇を抱えて生きている」
すると被験者は「実験の結果言われている事だ、すごくあたっている」と思い込んでしまうわけです。
実際には回収したアンケートと結果では、全く因果関係が無いのです。
ちょっと実験をする側の意図が見え隠れしますよね。
こうして、実験の結果それが導き出されたんだと思わせる事によって、相手の「私にすごくあてはまっている」
と思わせるのがバーナム効果です。
また、この時試験実施者の権威性が高いと、被験者が情報を信じやすくなるという傾向があります。
偽物のバーナム効果解釈
よくバーナム効果の説明に、星座占いや血液型占いをあてて解説しているところがありますが、これは厳密には大抵間違いです。
バーナム効果は先ほど取り上げた通り
1.意味の無い偽りの実験をする【偽実験】
2.実験の結果かの様な結果を被験者に返す【偽回答】
3.その工程により、被験者がその結果を自分の物であると思い込む
という物なので
『誰でも当てはまる様な曖昧な分析結果を、自分だけに当てはまるものだと捉える心理的な現象』
実験を経ていない、もしくは実験結果に基づいて返答された内容の場合はバーナム効果に当てはまっていません。
偽テストがあって結果を返すことで、初めてバーナム効果となるのです。
『テストがあったから、この結果は本物だ』
と信じようとする効果。ということです。
ただし、後半の『誰にでも当てはまる』という部分を広められ過ぎた為、ここだけを抜き出してバーナム効果と解説していることが異常に多いのも現実です。
バーナム効果の利用方法
バーナム効果を利用しているとは言い難いですが、ちょっとブラックな事を書きます。
例えば簡単なアンケートや占いのサイト。
幾つか選択肢を与えた上で、最後に数種類の中から、結果を返してくれますよね。
中には血液型占いの様に4種類程度しかない物も。
あれ。事前のアンケートや心理テスト、関係していると思いますか?
勿論ちゃんとシステムを作って、リンクさせているところもありますが…。げふんげふん。
はい、この様に、バーナム効果がある事を知っていれば『事前テストと結果に因果関係が無いかも』と疑う事ができます。
これが被験者としての使い方です。
『因果関係を疑う』事ができる様になるのです。
さらに、偽の実験を伴わない誤用の解説が多いので取り上げます。
例えば、会話相手との距離を詰めるのに使う場合。
これは、解釈するなら同調効果や同情を誘っているだけに見えます。
しかし、何故かバーナム効果の解釈にはこうした活用方法の記述が少なくありません。
つまり前半で説明した事。
勘違いだってそれ。
しかも、こうした使い道の多くは『誰にでも当てはまりそうなことをさりげなく伝える』で相手の言動を誘導するのです。
アカン。
バーナム効果は偽実験と偽回答から成り立つので、基本的に『使う』というシチュエーションがあまりありません。
活用するとすれば、相手の考え方や言動を誘導する為に行う物。
もしくは何らかの詐欺的な手法が必要な物にでしょうか。
活用の現場を求めるには、ちょっと扱い辛い解釈だという事です。
ここまでに記載した通り、心理学はとりあえず知っていれば自衛手段になりえる。
というのは常々伝えていますので、自分からはあくどい仕掛けをしない様に、そして誰かを守るために考えてみて下さいね。
最近心理学掘り下げると
使い道微妙なのが多いと感じるわ
自衛、自衛手段
知識として使おう
コメント