値段の高い物には、あなたの思っている以上の価値が見出されていることをご存じですか?
高いブランド品が売れる理由は、ソシャゲと同じ。ということ。
そして、対極にいるソシャゲの無課金層って必要なんですよ。ということ。
なにより、課金者の為にね。
こういう風に書くと、課金ユーザーの一部の方から物凄い非難を受けるような気がします。
相手に対する優越性は高額課金者にとっては非常に大事なことです。
この高級志向は何処から来る欲求でしょうか。
今回は、それを説明できるヴェブレン効果について書いていきたいと思います。
ヴェブレン効果とは【優越感】
ヴェブレン効果とは、【高級志向】を意味しています。
根底には『人は誰でも他の人から羨ましがられたい』という欲求を示しており、ブランド物・限定品などの市場価値が上がる側面を持った商材を、特に好む傾向にあります。
自分の外にあるものを経ての、間接的な承認欲求と言うべきでしょうか。
メチャクチャ簡単に言うと『人は値段の高い物に惹かれる』ということ。
機能的には全く同じであっても、ブランド物であること、そう認められた事実こそが価値でありそれこそが重要だとするのです。
同じような車、同じようなバッグ、同じような衣類であっても、高級ブランドであるかそうでないかを重視し、質よりもロゴを重視します。
そして値段が高ければ高いほど、レアであればあるほどそれらを支持する傾向にあります。
これらを極端に言うと10万円のバッグより、100万円のバッグの方が買い甲斐があり満足できるということです。
金を出すほど価値のある商品
そして、市場価格が高いから良いんだ
的な考えよ
そう考えるとかなりアホらしく聞こえるね
何故高い物を好むかというと、それは所有欲・優越感にあります。
高い=誰でも持てるわけではないのですから、持っている人は=一定水準以上のの財力がある希少な人。という事になるわけです。
この強烈な優越感に浸ってしまう傾向を、理論として表した言葉が【ヴェブレン効果】なのです。
以下は引用ですが、この項目のまとめとして捉えてください。
ヴェブレン効果は、アメリカ合衆国の経済学者・社会学者であるソースティン・ヴェブレンの『有閑階級の理論』の中で述べられており、その後、ハーヴェイ・ライベンシュタインの『消費者需要理論におけるバンドワゴン効果、スノッブ効果、及びヴェブレン効果』の中でも取り上げられている。
引用元:weblio辞書
ライベンシュタインの心理学
>> バンドワゴン効果とは 具体例と有名人は何故選挙で受かるのかを解説
>> スノッブ効果とは マイノリティの心をくすぐるマーケティング
値段が味を決める
2008年にカリフォルニア工科大学とスタンフォード大学の研究者たちによって発表された1つの実験が話題となりました。
それは同じワインでも、値段が低い方が不味く感じ、高い方が美味しく感じるという物。
まず、被験者を集めワインを振舞います。
ワインは3種類ありましたが、値段を偽って被験者に公表します。
安いワイン | 5$ |
普通のワイン | 30$ |
高級ワイン | 90$ |
安いワイン | 5$の物だがワザと高いという(嘘の値段) |
高級ワイン | 90$の物だがワザと安いという (嘘の値段) |
被験者たちは、ワインは5種類とも違う味だと答え、美味しさもそれぞれ違いがあることを指摘しました。
この時、文字通り値段が高い物であるほど、味もおいしく感じられたという結果が出たのです。
また、この実験は脳に電極を付け何処が活発になるかを観察しながら行われました。
被験者たちは嘘などついていなく、値段にひきづられる様に高いものが美味しいと感じていたのです。
1000円の本より10万円のセミナーに価値を見出す
突然ですが、どちらが中身が凄そうでしょうか?
・啓発効果が高く、解り易いと話題の1000円の本
・感動を呼ぶと評判のビジネス啓発セミナー10万円
当然、10万円する後者の方が凄そうですよね?
でも、1回の講演って本の情報量の上を行くのでしょうか。
値段で言うと100倍の価値がつく物なのでしょうか?
そんなことあるわけないですよね。
同じだったとしても不思議ではないですし、何なら情報量で言えば本の方が多いのではないでしょうか。
しかし、繰り返しますが10万円の方が凄そうなのです。
お金という物に信用がそれだけあり、その値段を付けるからには何か凄いに違いないというバイアスが働くからです。
人は信じたい物を信じます。
信じたい人を信じます。
中身を一切公開されなくても、
「これだけ払わされるんだから凄いに違いない」
という思い込みを持ってしまうのです。
そして、「これだけ払ったんだから何か凄い力を持った」と、勘違いさせるような心理的効果も働いてしまいます。
これが認知の歪みです。
ソーシャルゲームには無課金層が必要という話
冒頭ソーシャルゲームの無課金層が必要と触れましたが、ここにその答えの一部を置いておきます。
実際は無課金層が必要な理由は、これだけでは収まりません。
ソシャゲのプレイヤー構造は、このゲームにお金を使う人と使わない人という、課金層と無課金層に大きく分かれます。
人気の作品は5chの様な情報交換と感想を言い合う場にスレが経ちますが、ソシャゲの運営が数年の長期に渡る様になると、仕切り屋の様な人が中に現れます。
その中で「無課金層は要る意味が無いのだからスレから出ていけ」もしくは「ゲーム自体をやめろ」といった趣旨の発言が飛び出すことがあります。
これはゲームの流行りの簡単な構造を理解していない発言です。
課金構造自体は、当然この様になっている筈です。
課金の額が上がるにしたがって、その人口は減少していく。
当然無課金層が一番多い。
当たり前ですよね。
そして、ゲームの本質は他者より優越に浸る事が目的です。
ですので、課金者は
・他者より優位にありたい
・人より早く攻略したい
・人より効率的に攻略したい
・人の持っていないキャラクターや武器を持ちたい
といった要求に突き動かされて課金をします。
特に、『時短』と言って特効キャラに課金する人。
おかしいですよね。
時短したいだけなら、ゲーム自体をしなければいいだけですからね。
実際には欲望駄々洩れで、動いているんです。課金時の理由を時間に紐づけて言い訳しているだけです。
この欲求の矛先を向けられているのは、実は無課金層というわけです。
要らないと煽った無課金層が居ないと、『差』が生まれず、自慢する対象が居なくなってしまうから。
それは、優越感の衰退に他なりません。
コレクターは常に自慢相手と、レアアイテムを求めていると言いますが、その縮図が実はソーシャルゲームの課金的な層の構造そのものなんですね
自慢相手=ある程度こちらの手持ちのレア度が解る人
これが段階別にいるというのがミソです。
上位の廃課金層になるほど、ヴェブレン効果が反映されていると思いませんか?
無課金層が必要な理由はほかにもあるのですが、今回は話が逸れちゃうのでここまでで割愛。
さらに豆知識だけど『課金』って『お金の支払いを課す』で
本来運営側が使う言葉で
プレイヤー側に使う言葉じゃないわよ
本来はプレイヤー視点であれば『納金』というのが正解
一般浸透しすぎた所為で、まったく意味ないけど
逆に納金って書いても誰も読んでくれないしね
高いブランド品が売れる理由はソシャゲと同じ?
ヴェブレン効果は、高いほど売れる事を表している心理効果。
高い=人気がある=市場が湧いている。
ということですが、これ人気ソシャゲでも似た様な事が言えませんか?
人が集まっている、このブランド(ゲーム)は潰れない、多少排出条件のキツイものが来ても大丈夫、レアが出るまで引き続ける。
ちょっと短絡的ですがこんな所です。
人が集まるところには評価があって、そこに価値が生まれます。
価値はお互いの認識であって、物理的な価値とはずれるのですが、当事者同士が価値があると思っていればそれでいいのです。
こういった思考を上手く利用しているのが、ブランド品の戦略です。
本当はそこまでの物的価値は無いはずなのに、無駄に十万円上乗せされている。
そして、そこに価値を感じる購買層が居る。
こういった関係でこの効果を利用したビジネスは成り立っているのです。
成り立っているのですから、事実として認めなければいけませんけどね。
こうした事は『顧客の満足度』『顧客の質』の観点から非常に重要であり、『ある程度値段を上げてブランド化する』というのは正攻法の手法の一つです。
ただ、そういった思惑があるのか無いのか、高い商材を見た時に一度考えてみるのも悪くはありませんね。
だって、商品に満足できるかどうかは結局、自分の観測結果に過ぎないのですから…。
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