今回は私がディレクター業を行っていて、如何にも「無駄だなぁ」と思った仕事の工程あるあるについて書いていきたいと思います。
本来仕事というのは『目的』や『顧客』の設定がしっかりあって、そこにフォーカスして行われるべきものですが、今回紹介するようなケースではそのフォーカスや工程自体が暴走してしまって遅滞を生んでいます。
日本人によくある『真面目寄りな仕事』が原因だと思われますが、これを読んでいるあなたの近くでは同じ様な事が起こっていませんか?
全力仕事が無駄な確認を生む
恐らくですが、日本人の多くの人が『仕事は全力でやって評価を貰うもの』だと思っています。
想っていなくても、その理念が美しいと思っています。
当然、仕事1つ1つにも全力を尽くすべきですし、そうすることやその心意気にによって良い物が生まれます。
しかし、こうした決意が毎度大きな弊害とコストを生んでいるのではないか?
というのが今回の内容です。
ポスターデザインの現場に例えてみましょう。
ポスターのデザインで考えられるもは、デザイン会社がラフを起こしクライアント側が了承、聖書をして納品という流れです。
これを実際の現場に当てはめ、クライアントから広告代理店を挟みデザイン事務所でポスターの制作をするという流れだと仮定します。
すると、このポスターデザインに関係する人の階層は以下の様になります。
- クライアント内裁定者(部門長や部会)
- クライアント内案件担当者
- 代理店営業担当者
- 代理店ディレクター
- 社内ディレクター
結構多いですよね、関わってくる人というか階層が。
営業が口を出さない場合もありますし、ディレクターの配置が誓う場合もあります。
勿論この他にクライアント内にコンプライアンス審査部があったり、全社の営業が全て間に挟まっている可能性もあります。
さらに代理店やクライアントの間に別のコンサルタントが居る場合もあります。
これだけ関係者が多いと怖くないですか?
『仕様変更』が。
そして、最終裁定者がクライアントの社長という案件もあり間の意見が全ての意味のないものになる可能性もあります。
いわゆる『卓袱台返し』です。
この、使用を判断する階層の多さと卓袱台返しがこの案件全体の進捗を悪くしている事が非常に多いのです。
船頭多くして
船頭多くして船山に登る。
ということわざがありますね、方向性の決定に際して意見を言う者が多すぎると船も山に登る位わけのわからないところへ突っこんでいくという事を表す言葉です。
クオリティチェックの現場ではこれと似た様なことが常に起こっていて、先程紹介したような階層ごとに『判断』が成されるという事なのです。
提出する→チェック→修正指示→修正→1つ上の階層でチェック→修正指示→修正→……。と修正とチェックを延々と繰り返し、少しずつ上に登っていきます。
そしてよくあるのが裁定者付近で『もっといいデザインは無かったのか?』と言われ、しぶしぶ最初のデザインごと段階ごとのモノを取り出し提出するケースです。
そして『これがいい』と言われたものが、実は最初のデザインだったと。
デザイン現場・アイデア現場の『あるある』です。
こうした無駄はどうして生まれるのでしょうか?
そう、階層ごとの人間全員がある程度の使命感を持ってチェックに入っているからなのです。
関わっている人物が非常に多いのに、みんながみんな『自分の意見』を全力で入れてくるから一カ所毎に時間がかかり、その都度バージョン違いのデザインができます。
そして、最終裁定者にしか決める権利が無いのであれば、それまでの8割は無駄な行動になるかもしれないのです。
日本人の多くは『仕事に対して真摯であれ』とか『全力で取り組めばいい結果が出る』と思い込んでいる節があるので、階層ごとに自身の知識をフル活用して全力でチェックをしようとします。
結果、納期の遅延が起きたり伝達ミスが起きたりという事が出てくるのです。
しわ寄せは下流工程に行く
最初の方に最低でも5階層のチェックがある。
というようなことで書きましたが、この作業のしわ寄せは下流工程に行きます。
下流工程というのは実際に現場で提案を作っている作業のことで、この場合はデザイナーであったりライターであったりします。
チェック階層が増えるごとに修正の回数も当然増えていきますが、現場の作業者は増えません。
というか1デザインやアイデアを治す場合は人員増強をしてもほぼ意味がない為、スピードが上がる事はありません。
となると納期に対する作業量のしわ寄せは作業者にだけどんどんと寄っていき、結果プロジェクト全体が遅滞してしまうのです。
解決策は?
結論から言うと解決策は私にもわかりません。
ただ、ある程度無駄を省くことはできます。
一回どうにもならなかったので、代理店までの責任者を集めさせてその中で発言権がある人全員に発言をさせて「ではこれ以上の修正は無しで、ここまでやったら提出しましょう」というやり方で納期をググっと短縮した事があります。
毎回できるわけではありませんが、こういった強引な手法により救われる現場も出てくるでしょう。
ですが、そもそもこうならない様に日頃からある程度行っている事はあります。
それは『仕事に我を入れない事』です。
『デザイン自体のクオリティ』と『個人の意見』は完全に別物なので、なるべく後者を入れないようにチェックをし、スピーディに関係者へ回すのです。
出来れば巻き込めるところを全部巻き込んで『全員で煮詰めた意見』というエビデンスを取ります。
それらを含めたデザインやアイデアという事で、クライアントチェックに回していくのです。
こうすることで『個人の意見』の介入機会を減らしていきます。
日本人は真面目なので『チェックをする』という仕事を作ってしまうと本当にそれに取り組んでしまします。
この様なケースではそれがあだとなり、結果として全体が遅滞することが多いのです。
そして、各所が真面目にチェックする事と、最終的な消費者が感じるクオリティは【別物】です。
そうしたところを忘れがち。というか、そういう処が日本人らしいなという処でm、今回問題として定義しました。
あなたの現場ではどうでしょうか。無駄、多くなっていませんか?
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