毎回実りのある話をしているのに、何故か進捗が好ましくない案件ってありませんか?
実は私もディレクターになりたての頃そういった事例があり「会議参加者はおおむね満足しているのに、進捗が悪いのはなぜだろう」ということがありました。
何故だ何故だと考えているうちにある考えに至ったのです。
「これは、お互い満足している事自体に問題があるぞ」と。
相手を満足させられたうちのメンバーも満足しているし、良い意見が出てクライアントも一見満足しています。
しかし、締め切りだけはなぜか近くなっている。
その答えは案件の進め方にありました。
クライアントを満足させることだけが正解ではない。
仕事を進める上ではクライアントを満足させるだけが正解ではありません。
クライアントを満足させたうえで、コンサル側・製造側が適切な答えへ導いて行くというのが望ましいです。
そもそもなぜ仕事が発生しているのでしょうか。
それは、プロに仕事を依頼するからです。
クライアントは自身が素人である分野に対して、対価を支払い実利を求めます。
少なくとも最初の目的はそうです。
塾で勉強を教えてもらう、生徒と先生の関係。
祭りでたこ焼きを購入する、見物客と屋台のお兄ちゃんの関係。
専門業者にHPを作ってもらう、コンサル業とWEBクリエイターの関係。
全て、何かのプロに依頼して、物事を進めてもらいます。
接客だろうと交通機関だろうと、勉強だろうと何も変わりません。
みんな仕事に対して対価を支払って、仕事をお互いに発注するというの流れができています。
この時必要なことは、対価に見合った仕事をすること。
クライアントを満足させることももちろん重要ですが、それは二次的なもので、一番は定まった要求に対して明確な答えを打ち返すことです。
クライアントを満足させる=生産性が落ちる?
クライアントアントを満足させるフェイズが長く続くと、それは案件の遅滞に繋がります。
考えてもみてください、満足にはいろいろな種類があり、物事をやり切った事に対して生じるドーパミンあふれる満足ならばきっと進んでいるでしょう。
しかし、全体で良い案を練る。
といったような終わりの無いトンネルで会議を続けたらどうでしょうか。
そう、仮に前回より5%でも良くなっていれば、クライアントは満足してしまうのです。
クライアントが満足していると、提案側もついつられて満足してしまいますが、話はそこで終わりません。
その会議、本当に物事が進みましたか?
物事には時間というものがあります。
考えをまとめた後は実作業が待っているのではないですか?
本当は実作業に入る時間はとっくに過ぎていて、すでに遅れが発生しているのではないですか?
これ、振り返ると異常にそういう案件が多いのです。
間に合ってるのは現場が鬼の様に努力をしたからで、それをコントロールする頭の方はダラダラ物事を決めて満足感を共有しているケースというのはかなり多くあります。
案件の緩やかな遅滞事例
私が一時的な相談役を務めた案件で、ここまでの話の様な遅滞をしている案件がありました。
定例会議をして、都度修正と提案を持っていき、クライアントも満足するような話し合いのできる案件です。
私は突っ込みました。
「これ、締め切り先月末じゃなかった?」
「ええ、でもクライアントがもうちょっと時間をかけてでもブラッシュアップをしたいと仰っていて……」
そう、クライアント合意の上で、予定より2週間も遅れていたのです。
一見お互い満足しています。
しかし当初の目的は『売り上げをアップさせるクリエイティブを早くに露出させる』ことだった筈です。
そうです、当初の目的は忘れられて、良いクリエイティブを作ることに躍起になってしまったのです。
「これはまずい」と思いました。
何しろ売り上げがあっての案件でもありますから、ただ会議をしているだけではクライアントから無駄にコンサル料を取るだけの集団になってしまいます。
本来の目的を定期的に思い出させるのは、依頼された製造側の仕事です。
クライアントを強引に導く
この遅滞を起こさないために、提案をする時には多少強引に物事を提案する必要があります。
よくある停滞としては、サンプルを提出して全体的に「どうですか?」と、問うパターンです。
これは進まない典型で、やるべきは全体的な話ではありません。
「これらの事項は、こういう理屈で決めてきた、だからこのポイントだけクライアント判断をしてほしい」
というプロとしての宣言をすることです。
クライアントは自分の判断だけで決めたい派と、プロに判断を求めている派があります。
前者はモンスタークライアント化する可能性がありますが、後者は今回紹介している案件遅滞の可能性を秘めています。
しかし、味方に引き込みやすいのももちろん圧倒的後者です。
このクライアントは、絶対的にプロのアドバイス、プロの知見と導きを待っています。
安心して任せられるパートナーとしてのふるまいを望んでいるのです。
であれば、多少強引でもここはこうした方がいい、とプロとして宣言してしまう方が、最終的なお互いの損失が少なくなります。
強引さは関係を壊すこともありますが、プロとしての前向きな強引さは成功を自ら引き寄せるファクターにもなるのです。
あなたの遅滞案件は、もしかしてクライアントに過度に遠慮しているからじゃないですか?
いま一度思い出してみましょう。
ダラダラした自己満足会議を打破する
締め切り無い物はありません。
時間をいたずらに消化する、双方がうれしさを共有する実の無い会議より、物事を強引に進める腕っぷしが、時に本当に必要な進行力になります。
あなたがクライアント側であっても、製造側であっても無意味な自己満足会議を重ねていませんか?
進めるための努力は本当にしましたか?
同じクオリティなら、早く出せることに本当の価値があるのです。
強引かつスマートに、そして力強く理屈的にクライアントの願いを叶えるクリエイトを行ってください。
きっと遅滞案件が目に見えて進むようになるでしょう。
コメント