アッシュの同調実験とは? 集団行動が人間の正誤感覚を狂わせる?

心理学・人間関係

アッシュの同調実験は明らかに間違った答えであっても、集団的真理により間違いを指摘できないという内容を実証した物。

今回は、そんなアッシュの同調実験を紹介していきます。

集団が引き起こす勘違いや、主張の拡張については度々当ブログでも触れてきました。

人は集団を形成し、意見を強固にし、地震を正義だと勘違いして間違いに堕ちていくものです。

ただ、こういったものはかなりのケースが心理学で説明できるので、是非確かめていって下さいね。

行き過ぎた正義は悪の一歩手前。

行き過ぎた正義は集団が形成します。

スポンサーリンク

アッシュの同調実験とは

集団

アッシュの同調実験とは、1955年にソロモン・アッシュが発表した群れの行動についてと言われる集団行動に関する実験。

実験内容は下記の通り。

被験者として集められた面識のない7人のグループに、それぞれ標準となる直線の見本を渡します。

そして同時に、ABCと書かれた別の線3つを提示します。

そのうち1つは標準となる線と同じ長さです。

そして被験者7人に問いかけます「標準の線と同じ長さはどれですか?」と。

はい、図説では見たまんまCが正解です。

7人の被験者に順に答えを聞いて回りますが、実は7人中6人が実験の協力者、最後の回答者となる7人目が本当の被験者で、前の6人は意図的に回答を誤ったりという仕掛けを打ちます。

そうすると7人目の回答者はなんと、簡単な問いの答えを周りに同調させるという傾向が現れたのです。

例えば前の6人がCではなくAが同じだと回答したとすると、7人目もAと回答する事が多くなったと。

これが同調実験の簡単なあらましです。

こんな実験内容ですが、実に被験者の36.8%が周りに同調して誤答しました。

勿論1回1種類で終わる実験ではなく、幾つかの実験に実験の協力者たちが正誤混ぜて回答したのがこの様な結果を生んでいます。

通常の誤答は1%にも満たないような実験でも実に35%以上の人間が同調圧力に屈してしまうという結果を証明したのです。

集団

こうした同調、あるいは同調圧力を駆使することによって、周りの意見を封殺できる可能性があります。これがこの実験結果が示している非常に怖い部分ですね。

この、長さを答える実験は一人の被験者に対して12セット行われました。

この実験によって12セットを一度も間違えることなく終えた人は25%。

75%の人たちはどこかの段階で誤答を誘発されているのです。

こんな簡単な問題なのに……。

同調圧力に恐ろしい力がある事は、この実験から見てとれますね。

シチュエーション別の正誤の判断

アッシュの同調実験では、派生して以下の内容が考えられています。

  1. 自分が出した答え、観察結果を疑い始めて屈服した
  2. 集団に服従する為に間違っていると理解していながら同調した

順に見ていきましょう。

自分の答えを疑っているケース

悩む男性

自分の答えを疑っているケースでは、その後の確認でさらに驚愕の結果が出ています。

『自分は確かにソレ(間違ったものが)正解だと確認した』と。

要するに思い込みによる記憶の改竄とでもいうべき事が、行われているのです。

もしくは、引っ込みがつかなくなっているかですね。

引っ込みがつかないのは心理的に嘘をつきたくないというのとプライドが働く一貫性の原理にあたります。

集団に服従する為同調した

集団

集団に服従する為同調したケースでは、同町の圧力がより高いという事が伺えます。

今から間違った事絵を言うという事を感じていながら、周囲に合わせないと何らかのトラブルが発生すると思って、わざと間違えたのですから。

人間は集団生活を営む生き物ですから、集団から外された場合生存確率が下がります。

つまり、本能的に集団の示す答えと違うものは避ける傾向にあるのです。

人はデータよりも印象に頼り更に周りに同調する

データ

人は印象で良し悪しを決めるので、実は目の前の事実よりも人の意見に流されるんです。

例えば強烈な印象、リーダーシップを演じることができる演説家は非常にファンが付きやすく、実務能力のあるなしに関わらず評価されやすいです。

本来は実務能力や実績などを評価すべきですが、基本的には『凄い人』より『凄そうな人』が支持をされるのです。

さらに今回紹介したような同調の作用によって、勘違いした周りがその人を指示すれば、周りにその指示体制が伝播していきます。

そして、その内輪に入らなかった人に対して今度は攻撃が始まるのです。

自分たちの領域を、安定させるために。

こういった行動に本能的に気付いている為、アッシュの同調実験の様にあえて間違っている答えを選ぶ人が居るというわけです。

完全な圧力ですね。

同調実験から得られる物

集団

こうしてアッシュの同調実験から得られる物は2つあります。

1つ目は75%は集団によって影響を受ける。

明確な証拠よりも、集団の印象を操る事で、簡単に意見の塊や指示を作ることができる。

2つ目はそれでも1/4の人間はその程度の同町には屈しないという事です。

同調は集団生活を形成する上では便利な物ですが、同時にこうした個の強さの側面を計るものとしても役に立ちます。

あなたは、集団がの中に居る時、自分の意見を貫き通せるでしょうか。

それとも、どこかで集団に迎合してしまうでしょうか。

自分が気を付ける場合は、出題者となる相手方が何を狙っているかに思考を巡らせると、解消するのでオススメです。

「ん? おかしいな」と思ったら、シチュエーションや意図を疑ってみましょう。

コメント