嘘も100回言えば真実になるのか 虚偽の疑いを押し付ける戦略

心理学・人間関係

嘘を大声て言う事で、意図的に相手の価値を落とすことができるんです。

「お前は犯罪者だ!」「お前は犯罪者だ!!」と大声で叫べば、勘違いした聴衆を味方にすることも。

突然言われた方が、精神的に病んで追い込まれて委縮してしまったり。

そして気の弱い人だと、そのまま反論もせずに逃げてしまったり。

噂は広まり、レッテルが張られ清廉潔白な人だったのに社会復帰が困難になったり。

ワルい奴が得する世の中、と言います。

しかしさらに突き詰めると、理不尽の方が理路整然に勝ってしまう事がままあるのです。

今回は、そんな嘘も百回言えば真実になるという究極の理不尽について触れていきます。

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【嘘も百回言えば真実になる】

演説

『嘘も百回言えば真実になる』という言葉を聞いたことがありませんか?

この言葉はドイツの政治家ヨーゼフ・ゲッベルスが説いたとされる話を基にした【嘘】です。

このゲッベルスが言ったという情報自体が嘘なのです。

正しくは『もし大きな嘘を何度も頻繁に繰り返せば、最後にはその嘘を大衆は信じるだろう』といった内容を説きました。

そうです、この言葉自体が嘘が現代まで100回も200回もあらゆる国で言われ続けたことによって嘘なのか真実なのかすら分からなくなってしまっているのです。

ちなみにこの出典自体も1938年の文章を基にしたと言われていますが、これが改竄されているものか、そして真実かも確認が難しい為、といったそもそも論もあります。

本質で【嘘も百回言えば真実になる】といった事を体現している言葉なのです。

まさに『Fact or Fiction』というところ。

嘘か誠か

これを実際に利用しているお国や政策もあります。

直近ではトランプ大統領が「オバマゲート!」と発言したことで話題になりました。

これもありもしない嘘で嫌疑をかけた戦略として、相当の話題を呼びました。

嘘は言う度に拡大していきますし、嘘の内容もドンドン誇張されるのが通例です。

その度に金銭の保障や退陣、その他追い込みを措置を対象に申し入れます。

そしてそれらの嘘を真実にする為には、それが嘘だと覚えている人たち嘘だと証明するエビデンスを全て消し去ってしまえばいいのです。

仮に100年では無理でも、300年くらい嘘を重ね続ければ『歴史上の事実』になるかも。

怖いですね。

身近な疑惑の作り方 噂も拡大すれば全てを巻き込む

変な男性

さて、では実際に疑惑が深まる嘘の押し付け例。

そして。実際に怒ってしまった根も葉もない噂を発端に金融機関を追い込んだ事件を見ていきましょう。

根拠が無くても揺らぐ例

噂

例えばあなたがとても信頼しているパートナーが居るとします。

その人は素晴らしく理知的で、相思相愛で不満など微塵もありません。

しかしある日友人にこう言われました「あなたの恋人、別の人と歓楽街を歩いているのを見たけど……」と。

「もしかして、浮気をしている……?」「そういえば定期的に帰りが遅い日がある様な」「連絡の取れない時間帯が存在している」「電話に出ない日がある」などなど……。

そうしてあなたの100%だったはずのパートナーへの信用が、ガラガラと崩れ去る結果となりました。

まだ、何も事実を確かめていないのに。この友人が個人的な逆恨みで嘘を言ってきたかもしれないのに……。

こうしてたった一言で、火の無いところに煙を立てることができます。

もちろんこれはただの例。

ですが、実際に似た様なシチュエーションで、噂のみを発端とする大規模事例が存在します。

それが豊川信用金庫事件です。

豊川信用金庫事件

悩む男性

豊川信用金庫事件というのは、1973年の12月に愛知県で起きた「破綻するのではないか?」という嘘の噂を発端とする事件。

噂が噂を呼び2週間も経たないうちに、一般の利用者が集まり預貯金20億円が引き落とされるという規模にまで発展しました。

さすがに事件性があると警察の捜査がはじまり、なんと真相は女子高生3人の無根拠な会話が発端でした。

1つの根も葉もないうわさから集団パニックを引き落とし、信用金庫1つを潰すレベルにまで発展した事件として、しばしば有名なものです。

こうした普段ならあり得ないであろう、思い付きレベルの噂が事件規模にまで発展したのは下記の様な背景がありました。

  1. 社会情勢の不安。当時はオイルショック直後で、人々がマイナスの噂に敏感だった。
  2. 伝言ゲームによる。ヤバいって噂→ヤバいらしい→ヤバイ→倒産する?→倒産する。とドンドンと変異をしていった。
  3. この事件の7年前に隣町で金融機関が破綻。ほぼお金が戻らなかった。
  4. この時あおりを食らった事業者が、この噂を知り合いに善意で拡散。
  5. さらにこの事業者が拡散しつつお金を引き出すという、事実が今度は噂を呼ぶ。
  6. 結果、噂に信憑性が出たという事になり、人が大挙して預貯金の引き出しに訪れる結果となった。

こうした噂によって信憑性を呼んでしまう事を、心理学ではウィンザー効果と言います。

豊川信用金庫事件では、この噂による信憑性の高い評価がモロに引き金になってしまったという事です。

デマほど恐ろしいものは無い

悩む男性

デマ(本来の意味はこちら)ほど恐ろしい物はありません。

だって、火の無いところに煙はたたないということわざを嘲笑うかの様に、覆してくるのですから。

どんなに清廉潔白に物事を進めていても、疑いの芽を外側から作ることができるんです。

あのタレントってイケメンだよね→あのタレントに女の人が言い寄ってこないはずないよ→あのタレントいつも女の人連れてるって→あのタレント女癖ひどいらしいよ。

これは男女を逆にしても言える事です。

そして、日常で起きている危険な事なのです。

インターネットミームやサイバーカスケードと言われる、ネットでの拡散や濃縮が特に広がりやすい情勢では、自身が根も葉もない噂の発信元とならない様、よく注意して情報を精査しましょう。

嘘が誰かの利益になる事もあれば、誰かを追い込むこともあるのです。

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