選択肢が増えれば増えるほど、実は顧客の満足度が下がるって知ってますか?
商品を提供する側がすっごく頑張って、候補を沢山取り揃えても逆に顧客を満足させることはできません。
「そんなわけない、選択肢が多くあればあるほど、顧客は色んな観点から物を選べる」
ええ、実はみんなそう思ってしまうんです。
でも、本当は違うんです。
『候補』は必要最小限の方が、全ての関係者が満足することができる。
今回はそんな選択肢のパラドックスの話です。
そういえばデザイン候補死ぬほど持っていくと
絶対通らないのよね…
あとでその中からこっそり3つに絞ってもう一回持っていくと、まともなフィードバックがあるのよ
あるあるあるある…
選択肢に関する心理学ではこちらのおとり効果という物もあります。
選択のパラドックスとは
2005年TEDトークにて、スワースモア大学の心理学者、バリー・シュワルツ(Barry Schwartz)が提唱した有名なパラドックスです。
彼は「スーパーのサラダドレッシングからショッピングモールのファッションスタイルまで、人はできる限り多くの選択肢を持つべきだ」
そういう誤った思考に人々が囚われている。
と説きました。
選択肢が多ければ、自分の理想の物に出会える確率が上がらない?
彼はそれがマズイ事だと言ったんだ
選択肢が多いのは、一見豊かです。
縛りが無い事で自由な思考が生まれ、
並べられた物の中から、より理想に近い物を選べるようになるかもしれません。
しかし、現実には脳はそうした状況で満足感を得ることが難しいのです。
多くの選択肢があるデメリット
選択肢が多くあることで発生する、デメリットを見ていきましょう。
イエール大学のデイニアン・ケイン(Daylian Cain)によると、脳は選択肢から物を選ぶ時に2つの働きをする、と解説します。
1つは無意識で、自動的な物。
1つは慎重で、制御されたもの。
選択肢が少ない時は、直観的に選ぶことができ、脳への不可は少なく済みます。
逆に選択肢が多いと、慎重な方の脳が働き、選択肢が導き出されます。
しかし、数多くの選択肢から選ぶために、脳はフル回転を強いられます。
さらに、選ばれなかった物に対する未練が残り、後ろ髪を引かれる状態が作られます。
つまり、選択肢が存在するほど後悔が多くなるのです。
こうして、脳は多くの選択肢からの決定に対する負荷に晒されます。
あれ?
じゃあクライアントにたくさんデザインを持ってった時に、突っ返される理由は?
クライアントの脳で処理しきれないんでしょ。
見る気力が無いんだよ
もう…絶対沢山持っていかないわ
選択のパラドックスの具体例
携帯電話の料金プラン
携帯電話の料金プランって、皆さん知っての通りかなり複雑です。
特にベースプランは常に5つほど、各社で展開されていますし、それに加えてオプションや、機種によってはメーカー保証サービスなんてものもあります。
家の回線と紐づけたり、その他キャッシュレスと紐づけたり。
もう何が何やら、説明の少ないダイエットしたプランは無いの?
選択肢が2つ! AかBなら簡単に済むのに!
というわけです。
保険のプランとかも似てない?
あの辺も闇だね。
結局保険商材はどう計算しても…
いや、これは別の機会に
そういえば、僕は多種多様なAndroidから選ぶのが面倒なので、iPhoneユーザーです。
精々色くらいしか考えたくありません。
まさか自分がiOSを選ぶ理由が、こんな単純な思考回路を基にした回答だったとは…。
SUBWAYと他のファーストフード
これは比較に出していいかわかりませんが、ファストフードのSUBWAYって好きな人は好きだし、行かない人は全くいかないですよね。
曰く「選ぶのは何となくわかるけど、種類が多すぎて何をしたらいいかわからない」
との事。
ユーザーニーズに応える為に自由な選択肢を与えているSUBWAYさんですが、逆にそれが障壁となってしまうケースもある様です。
他のファストフードは、極力客が選ぶものを減らせるように編成しています。
まぁ、そもそもバーガーの種類が多すぎるので、どっこいどっこいなのですが。
「具から選べ!」
というのは如何にも日本人にはハードルが高いのか…。
人はリスクのある行動を避ける
人間はリスクのある行動を避けるようにできています。
例えば、選択肢を二つ与えてみましょう。
A.今すぐ1000円貰える
B.すぐに10000円貰えるかもしれないが、20%の確率でもらえない
この場合、期待値としてはBの方が高いですが、Aを選択する方が圧倒的に多いです。
これは簡単な2択からでも損をしない方を選んでしまう、という例です。
選択のパラドックスは『選択しなかったものが沢山ある』、『損を抱える可能性がある』という損が絡む事柄に耐えられないのです。
だから、思考放棄をして簡単に見える方を選んでしまう。
プロスペクト理論や、決断疲れといった物にも見られる様に、人間損をして多くを考える事はもともとできないのかもしれません。
逆にハロー効果の様に、意思決定を素早く楽に行う為に発達して来たであろう機能もあります。
人間って思ったほど自由にできてはいないわね
1つの個体の限界みたいなものを感じるね
最良の選択肢は多くの場合1つです。
であれば、他は余剰案。
あまり多くの案を模索せずに、すっぱり3つ程度に収めることが、提案側も、提案される側も不幸にならずに済むという事です。
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