リンゲルマン効果の意味 人間は人数が増え集団になるほど手抜きをする?

心理学・人間関係

サボリ。

あなたは人前でサボる事ができますか?

まず、無理ですよね、そんなことをすれば信用を失いますから。

実は【社会的手抜き】と表現される心理効果があります。

この心理効果は「え、そんなことあり得ないでしょ」と思いつつも、

聞いてしまうと
「なるほど」
と納得せざるを得ない心理効果となっています。

日常でも発生するこのなんとも言えないサボタージュ作用。是非確認してみて下さい。

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リンゲルマン効果の意味

リンゲルマン効果とは、ある一つのタスクに対して参加人数が多ければ多いほど、参加者が他者に頼ってしまう心理効果。

簡単に言うと、『チームにたくさん人が居るとサボってしまう効果』です。

身も蓋も無いですね。

リンゲルマン効果の名称は、フランスの農学者マクシミリアン・リンゲルマンによる実験から来ています。

リンゲルマンの実験

リンゲルマンはいくつかの実験において、この効果の確証を得ました。

おおよそ次のような実験です。

集団で行う事のできるタスク。例えば、『綱引き』や『荷馬車引き』などを測定に使う。

参加者をいくつかの条件に分ける。

1人、2人、3人…綱引きの場合は逆側にも同じ人数にする。

この時、味方となる参加者の合計が2人以上でも、適切に全力を発揮できたのか?というものです。

答えはあなたの考えている通り『NO』でした。

参加者が増えるたび、一人当たりの『本気度』は減少していったのです。

  • 参加者が1人の時…100%
  • 参加者が2人の時…93%
  • 参加者が3人の時…85%
  • 参加者が4人の時…77%
  • 参加者が5人の時…70%
  • 参加者が6人の時…63%
  • 参加者が7人の時…56%
  • 参加者が8人の時…49%

なんとチームメイト7人を含む自分の計8人の参加で、50%を割ってしまいます。

闇の人格
闇の人格

そういえばサボリと言えば働きアリの法則があるわね…

はむらいと
はむらいと

サボるのは本能だったか…(厄介)

逆に高品質を求める手法として、会議1/8の法則などもあります。

品質を求めるには、少数精鋭が鉄則といったところでしょうか。

それにしても、リンゲルマン効果の力の減少具合は相当に厄介ですね。

>> 働きアリの法則とは 2・6・2で具現化する働く集団サボる集団

>> パレートの法則とは 世の中は収益構造8:2の法則に支配されている

リンゲルマン効果は何故起こるのか

リンゲルマン効果は下記の様なシチュエーションの時に起きやすいとされています。

  • 評価対象が多く、自分の評価が突出する可能性が低い
  • 報酬の共通化により、自分だけが頑張る意味が薄い場合
  • 弱い集団の中では、より弱い方へと、他人の行動や努力量、心的熱量に影響を受けて引きづられてしまう同調効果が作用するから
  • 集団に人が多く存在することによって、注意力が散漫になったり、緊張感が薄れたりする
探求者
探求者

シマウマが集まってるとより間抜けになって、格好のエサになるみたいな?

はむらいと
はむらいと

近いかも…

闇の人格
闇の人格

参加者が多ければ多いほど、参加意義や報酬意欲が薄れるって事ね。

自分以外の参加者が多いと
「自分が力を発揮しなくても」と、まさに他人任せな思考に、無意識のうちになってしまっているという事です。

例を考えてみる

例1

例えばライブ会場で
「盛り上がっていこうぜぇ!」
と歌手がパフォーマンスをしてファンに呼びかけます。

ファンはもちろん全力でそれに応えて、声援を送りますがこの時果たして1人1人は全力でそれに応えているのでしょうか。

歌手の人気が高いほど、ハコの収容人数は多くなり、リンゲルマン効果が働きやすくなります。

1万人の同調するファンに囲まれている時に、あなたは本当に歌手に声援を100%全力で送れているでしょうか?

例2

「会場の皆様、どうぞ大きな拍手でお迎えください!」

結婚式をはじめとする式典。

舞台挨拶などの登壇。

この拍手、全力であるいはうまく響くようにやったことはありますか?

何処か消極的に弱弱しく行っていませんか?

拍手に集中できていますか?

音を最大にしろと言うのではありません、集中力を最大に上げているか、という問題です。

きっととても難しい筈です。

この様な日常に起こる例では、あなたも心当たりがあるのではないでしょうか。

僕も勿論あります、毎回全力ではありませんよね。

そして、それ自体はあまりおかしなことではありません。

あるいは承認欲求の観点から、報酬が少ない事を本能的に悟っていると考えると、つじつまが合いますね。

自身が力を発揮してもしなくても、大衆や褒美として認められるものは、ほぼ変わらないのですから全力を出すだけ無駄だと、どこかで感じてしまっているのです。

また、これに非常に近い心理学として『傍観者効果』という物が存在します。

こちらは、参加者であるリンゲルマン効果と違って、当事者の外から見ている場合、傍観者が多いほど自分たちが関わろうとしなくなるものです。

リンゲルマン効果の防止と対策

リンゲルマン効果は、我々人間の「自分がやらなくても他の人がやってくれるから」という無意識に近い解釈によって成り立っています。

結局人数が多くなるとサボるという事は逆に、その人1人にしか行えないタスクを与えれば、解決する事とも言えます。

まず対応策としては、タスクにあたる人物を極限まで減らしましょう。

プロジェクトメンバーの削減

つまり、部隊・集団のダイエットです。

仮に8人で当たっていたプロジェクトのパワーが先ほどの力の発揮数値、8×49=392の力しか発揮していないなら、1人削っても7×56=392という全く同様のパワーが得られます。

エリート集団なら半分の4人まで減らしても100ずつ発揮してくれるかも?

勿論机上の空論、ただの数字なのでそのままいく筈もないのですが、こういった事も考えられるといった例です。

実は仕事って、そこまで人数が必要無いのかもと考えると、AIに仕事を奪われるのも納得ですよね。

機械は、故障はしますがサボりませんから。

責任と成果の可視化

責任と成果を見える化することによって、より心理的にタスクに没頭しやすくなります。

責任は対応者にちゃんと圧し掛かってくるという状況を作り、タスク自体への集中をしっかりと高めること。

逆に成果の見える化を積極的に行い、周知することでそれが『ご褒美』になります。

よく承認欲求を忘れろと言います。

しかし、人間の承認欲求は中々切り離せるものでない為、逆にこういったところで積極的に心のガソリンとして積極的に活用していきましょう。

お互いに認め合う

ちなみに、僕も複数プロジェクトを跨いでいますが、参加者の多いプロジェクト程進みが鈍化したりします。

みんな「誰かが進めてくれるはず」と思っているのですね。

そのような時は、参加人数の大小にかかわらず、誰かを取り仕切りのリーダーに決定してガンガン進めてもらいます。

そして、よくお互いに褒め合うのも大事です。

そうすることで、円滑にプロジェクトが進んでいきます。

ちなみに、私がTwitter上でよく「群れるな」「組織化すると危ない」と発言しているのは、こうした背景があります。

全て自分事化することで、無駄なく行動できたり学習できたりするんです。

人数を絞り自分事化を進めていく事によって、自分にとってのちのち大きなプラスになっていくのです。

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