ブーメラン効果とはネットスラングにおけるいわゆる、言った言葉が返ってきて本人にぶっ刺さる。という物ではありません。
心理学、経済学、そして刑法学(ブーメラン現象)でそれぞれ言われる【ブーメラン効果】というものがあります。
今回はその中でも『心理学のブーメラン効果』に焦点を当てて紹介していきます。
ブーメラン効果(心理学)
ブーメラン効果とは、相手に何かお願いをした時に、期待した結果が伴わずに拒否をされてしまう事です。
『説得の逆効果』とも言われます。
この拒否行為によりお願いをする前の状態に立ち戻ってしまい(現状が変わらない)、なおかつ発信者が損をするという特徴があります。
一番簡単な例えとしてはこちら。
「勉強しなさい!」→「今やろうと思ってたのに、やる気なくなった!」
このやり取りです。
発信者としては勉強をしてほしくて行ったのですが、相手はやることを拒み意固地になってしまいます。また、雰囲気も険悪になりますよね。
心理学で提唱されるブーメラン効果は、説得に対する逆の行動をしてしまうという上記の一連のやりとりとして説明されます。
この反発的なやり取りは、結果的に誰の為にもならないことが多くブーメラン効果の代表的なものです。
例にあげた『勉強しなさい→イヤだ!』の一連の流れでもそうですが、こうした現象は日常に溢れていますので今度はそれを見ていきましょう。
いつまでも日常を抜け出せない
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ブーメラン効果の例
日常に潜むブーメラン効果の例では下記の様なものがあります。
- 子供に勉強を促してやらなくなってしまう
- 顧客に契約を促して買われなくなってしまう
- 選挙の投票を呼び掛けると他の候補者へ入れられてしまう
- 恋愛で相手に好きだというと逃げられてしまう
この様に『こうしろ、こうしてくれ→イヤだ、やらない』といった状況を招きます。
細かく思い返していくと、日常でもかなりこういった場面に遭遇しますよね。
相手にやらせようとすればするほど、相手は意固地になって指示されたことを実行しようとしなくなります。
あンたもとりあえず人の発言全部疑うわよね
で、やらないことがある
うーん、行動が相手の希望と違ったら
1.疑った結果
2.反発した結果
で後者がブーメラン効果だね
この効果を逆に政治などで利用する場合があります。
説得される側が、説得する側を信用していないときにも生じうる。 情報操作においては、国家権力などがブーメラン効果を利用して、国民を操作することも可能である。
引用元;wikipedia
つまり、反発感情を利用して「やって欲しい」と呼びかけつつ【やらない方向】へ導いていくのですね。
なんだか怖いですね。
ブーメラン効果の要因
ブーメラン効果は発生すると言われている要因が主に5つあります。
- 現在の立場や意見に責任感を感じるのに変えようとする意見
- 信念や価値観に対する意見
- 説得予告
- 押し付けられるYES
- 嫌いな相手から求められるYES
1つず見ていきましょう
責任感への干渉
あなたが責任があると感じている物事に、干渉がある場合それを守ろうとしてブーメラン効果が発生します。
例えば、「君の仕事はちょっと効率が悪いからこうしなさい」と言われる場合、今まで責任感を持って仕事をしてきた分ムッとしますよね。
責任感へ投げかけをする場合、こういった事象がある事を知っていなければ成功しません。
信念や価値観の踏みにじり
相手の人格に直接干渉するような、信念や価値観へ踏み込んだ発言をするのは非常に危険です。
「君その考え方はどうかと思うよ」というのは基本的に相手の考えを変えることにはなりません。
かえって相手の考えを固くさせてしまうのです。
信者とアンチが相いれない様なもので、どっちもお互いの立場を否定し成果が上がりませんよね。
集団化による認識の歪みとは
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説得予告
今からやると予告されては身構えてしまうという事です。
そんな情報先に出されても、その時が来たとして別に納得しないよという事。
そりゃそうだ。
押し付け
宗教勧誘が一番わかりやすいでしょうか。
「私たちの宗教は素晴らしい、あなたも入りませんか?」とね。
しかし、相手からの価値観の押し付けは「やかましい!」として基本聞く耳を持つことはできません。
正しい防衛反応の一種ですよね。
嫌いな人からのアプローチ
これは当然反発を招きますよね。
芸能人が政治家へ転身した場合を考えてみてください。
もし嫌いな芸能人だった場合、投票してくれと言われても「ハァ?」となりますよね。
嫌いな先生から機材の運び出しを頼まれても、イラっとするでしょう。
人に嫌われるというリスクは常にこういったマイナス効果を生み続けます。
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相手の気持ちや立場を奪う行為
これらの反発される行動は、相手の気持ちや立場といった自由を奪う行為に相当します。
こうした相手の行動に制限を課すものに関しては、反発されやすくブーメラン効果が発生しやすいという事です。
また、この考えを基にすることで、上記の様な項目を避けて【言い方】を変えることで説得が成功する場合があります。
人は結構言い方によって左右される生き物なのです。
非日常に対するブーメラン効果
ブーメラン効果の中でもっとも恐ろしく、かつ覚えておいて欲しい部分では『震災の記憶は8年まで』というのがあります。
8年までは震災に対する対策や、予算の積み増しなどの声が大きいですが、10年を過ぎる頃からその声は衰退し、次第に無くなっていきます。
そして15年が経つと震災の恐怖は全く機能しなくなり、人々はその事実があったことを忘れ去るのです。
さながら正常性バイアスにかかったことの様に、災害の記憶は非日常になります。
我々は大きな力を持った出来事に遭遇しても、危機意識の最大値から結局日常へ戻ってきてしまうのです。
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